塩野七生『レパントの海戦』

コレコレ!こういうの!!

歴史の重みをズシリと感じながら滅びの時を迎えるロマンチックさでも、欧州に見捨てられても奮闘するドラマチックさでもない、勝ちにいく漢の熱い物語ぃい!七生ちゃんもこっちのほうが得意なよーな気がします。というか、先ず私が、篭城モノより会戦モノの方が好きだからかもしれません。まー篭城ってのは基本援軍頼みの長期戦で、会戦ってのはそこでカタをつけるモンだから始まってから短期で、しかも刻々と動く戦線の方が素人目に面白いというか。

海戦だけではなく、パワーゲームがこれまた楽しい楽しい。外交って面白い。全権委任した大使に情報を全て与えないトコとかイイ!大義名分とか、隣国への敵対心とか、宗教における地位とか、ホント読者にとってはどうでもいいことにあーだこーだイライラさせられます。作者がヴェネツィア寄りだから、とにかく「スペインー!ええ加減にせえよー!」冷静にスペインの立場になれば、アレはアレでおいしいトコ取りのいい外交なんですけどね。

才谷は勿論実際に戦争したことないし、だから実際の戦術とかも全くな素人で、戦略ゲームは経験あるけどアレも結局1人でやるモンで、ホント自分の経験からしか引っ張ってこれないイメージで、弦楽四重奏を初見で息合わせて演奏するようなモンかしらと思う。

旋律の奏者に合わせて曲をはじめる。強弱記号は当初の戦術、各自の判断で一応どうにでもなるけども、リタルダンド、アッチェレランド、アラルガンド、そこからのインテンポ復帰、どうしようどうしよう、私の判断で勝手にやっていいんだろうか、他のパートは何やってるんでしょ?聴けばわかるけど聴く余裕もなかなか持てず、聴いても話してるわけじゃないから意思疎通不自由、こんな状況は海戦の伝達の厳しさに似てない?

私の経験から想像するとこれが一番状況に近いんでしょうが、実際には各パートでも更に複数おったりパートが4どころじゃなかったりするんで、オーケストラか。んで至近距離で同じ曲を同時に2つの楽団がそれぞれ演奏するよーなカンジかなー?自分の方の音を聞き分け、合わせ、完成度を競う。うえっ考えただけで気持ち悪っ。そういやこういうピアノ二重奏でこういうのあったような??

私としては、『コンスタンティノープルの陥落』のように、もーちょい中立で書いて欲しかったのと、ここまでカッコイイなら架空の恋愛要素とか邪魔と切り捨ててほしいなーと。そしたら小説じゃないかしら。それでも物語性は充分あると思うんだが。…それがローマ人の物語ね、そうでしたわね。

パワーゲームと海戦がやたら面白いので星4つであります。冷徹な勝利への執着がこんなにも熱いとは。

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